2011-01-01から1年間の記事一覧

先輩アーティストの背中

風邪気味で、養生しながらデスクワークした日のこと。未整理になっていた名刺を、PC内の住所録やメールアドレス録に入力して、名刺ファイルに差し込んだら、古い名刺に眼がとまった。そういえば、若かった頃に出会い、もう長いこと会っていない海外のアーテ…

吹雪の新潟をゆく

下書きのまま時が経ってしまったが、2週間前、調査のため新潟市を訪ねた。 天気予報は、その日を狙ったかのように「雪で、平地でも積もるでしょう。」と言っている。昼頃に到着した現地は、ウェットな大粒の雪が降っていた。仕方がない、観光などはできそう…

海の息

先月、福島県南相馬市原町区を訪ね、海岸のほうへ歩いて行くと、海から不思議な波音が聴こえてきた。 今までに聴いたこともない音。波が砂浜にざぶんと落ちる音と重なるように、波がつくる風のような音がする。これは上空に吹く風音とは違う。たとえば、重傷…

自ら回復しようとする力

脳梗塞によってダメージを受けた脳の内部では、再び手足への指令を伝達するために、破壊された部分を迂回して神経細胞がつながろうとするらしい。自ら回復しようとする力を持っているのだ。この夏、東北の被災地、原発の西20キロを通過する国道399号を…

ノルウェイ リレハンメルでのアートリサーチ

7/27 明朝にはここを発つので、私の滞在は今日一日のみ。今日は、昨晩エギルとマーレットが私の企画「精神の"北"へ」のリサーチのために計画してくれたスケジュールに合わせて行動することになる。“私のリサーチのために”でありつつ、彼らにとっては“日本と…

ノルウェイ オスロからリレハンメルへ

7/26 シャリンゲイからオスロ郊外の自宅へ戻ってきたエリザベスが、昼前にホテルまで来てくれて、オスロでの数時間を同行してくれる。 ノルウェイでは、人々は英語をよく話すけれど、街なかでの英語表記はあまりなくて、必要な場所を探すのに苦労していた。…

ノルウェイ オスロでのサプライズ

7/25 昨日、アーネや仲間達に別れを告げ、ボーデからオスロへ飛んだ。ボーデの空港で手に入れたノルウェイの新聞3紙は、どれもテロ事件の報道でいっぱいだった。どれも読めないけれど、写真から内容が想像できた。オスロ空港からホテルへ向かうために乗った…

KUNST I NATUR 2011  ノルウェイ 制作の日々 6

7/23 オープニングの朝。無情にも、昨夜から降り始めた雨足が強くなっている。滞在先の家で、めいめいが朝食を準備しながら、私はヴィグディスと、日本で言う"雨女、雨男"の話をした。誰なの? 今日のこの日に雨を降らせるのは!! 覚悟して、雨合羽を着込ん…

KUNST I NATUR 2011  ノルウェイ 制作の日々 5

7/22 昨夜、制作したおかげで、今日は余裕をもって最後の仕上げに取り組める。文字の形をした"廃墟"に、かつて街だった人間の暮らしの名残を表現する。積み上げた石垣が崩れたように、規則的に立っていたポールが折れ曲がったように…。部分的に細部を作ると…

KUNST I NATUR 2011  ノルウェイ 制作の日々 4

7/21 作品を廃墟らしく創り上げるために必要な石は、私の設置場所である岩の丘の登り口、道路に面したところにたくさん転がっている。ストライプ状に見える地層が、層に沿って割れやすく、まるで自然にできたブロックのように、直方体や平板な形ではがれ落ち…

KUNST I NATUR 2011  ノルウェイ 制作の日々 3

7/19 制作日数は半分を越えている。そろそろ見通しをたてなければならない。昨夜から雨で、午前中は作業が無理そうなので、アーネの自宅を訪ねてメールをチェックさせてもらう。ブログの書きためた分をアップしようかとも思ったが、画像の取り込みなどをする…

KUNST I NATUR ノルウェイ 制作の日々 2

7/17 現地滞在の3日目。早く作品設置ポイントを決定しないと、制作日程が厳しくなる。作家達はそれぞれに地域内を歩き回り、インスピレーションをかき立てるような場所に出会おうとしている。道でばったり出会うたびに、「ポイントは見つけたか?」と尋ね合…

KUNST I NATUR 2011  ノルウェイ 制作の日々 1

7/15朝、アーネさんがホテルまで車で迎えにきてくれた。「総勢20名分の食料を、現地へ持参する必要があるの」というので、いっしょに買い出しを手伝う。今日のうちに16人のアーティストとその連れが到着することになっていて、運転中にもしばしば彼女の…

ノルウェイ滞在開始7/15

ノルウェイ中部の北極圏内の街 Kjerringoy(特殊な文字は表記できないが、「シャリンゲイ」という感じの発音らしい)で開催される[KUNST I NATUR 2011]という国際野外展に参加するため、7/15から現地滞在を開始している。 環境保護の意識を持って、生活して…

『Into Eternity』10万年先を見据えるフィンランド人

原発事故の実状は、事故直後の報道よりもはるかに深刻であることが明らかになった。世界有数の地震国日本に、アメリカ、フランスに次ぐ54基も原子炉をつくりながら、その安全対策の無策ぶりが露呈され、もう凍り付きそうだ。そんな折り(もう2週間以上前の…

被災地を訪ねて

ゴールデンウィークを生かして、夫と東北の被災地を訪ねた。被災地に足を踏み入れたのは2度目となる。ふるさと東北が甦るまでずっと見続け、応援していくために、今の姿を眼に焼き付けておきたい。 初めて訪ねたのは、震災後1ヶ月直前の4月5日。 福島第…

庭からのおくりもの

地震から2週間が過ぎた。福島第一原発の事故は、未だ解決の兆しが見えない以上、ただ好転すること、これ以上の犠牲と被害が広がらない事を祈るばかりだ。東京でも毎日余震があり、それも時には大きく、地震が次第に収束に向かっているとは実感できない。東…

非日常な日常

地震から1週間目。報道の中心は、福島県海岸沿いの福島第一原発で次々に起こる爆発事故に集まっている。地震と津波の甚大な被害のみならず、これに放射能汚染の危機が重なったことは、一気に、広範囲の人々への緊迫感をもたらしている。郵便局で義援金振込…

大地震を実感

地震当日は、押し寄せる余震に緊張し、報道に注目しながら、散乱物を“とりあえず”元の生活ができる状態にするため棚につっこんだ。翌日になって、外回りや屋内をひとつひとつ確認し、後片付けをする。 扉のある食器棚や飾り棚の中身は、倒れていたり扉のそば…

東日本大地震

いつになく大きな地震だな…と感じて、自室のドア付近に避難した。…長い。まもなく揺れが大きくなってきて、背丈以上の本棚の上に飾っていた花瓶類が一斉に振れている。それを知りつつも、どうすることもできない。あんなところに置いたのは、うかつだった…。…

図工教室

昨日は区立児童館での図工教室指導の日だった。 私は、居住区である板橋区内の児童館で指導を始めて、通算18年になる。継続的に担当したことのある児童館数は8館、最も長いところが継続12年。先月、新設児童館からも4月からの依頼があり、来年度は6館…

手帳の余白から

また確定申告の季節がきた。 私の収入はとても少ないのだが、アーティストとしての個人事業として青色申告をしている。私の作品は、絵画を除けば、インスタレーションという展覧会期中だけの仮設によって表現を見せる作品がほとんどなので、彫刻のように売れ…

郷里のおばあちゃんへの手紙

おばあちゃん 昨日は合鍵を持たずに訪ねたために、寝ていたのに玄関まで降りてきてくれてありがとう。雪の降る寒い日だったから、おばあちゃんに風邪をひかせなかったか心配です。「靴下をはくとスリッパがすべるから」と、素足だったね。取り急ぎ、足の裏に…

親友の夢を応援したい

先週の晴れた日、しばらくぶりに旧友S子と会った。彼女とは美大受験のための美術予備校時代から、その後、美術を学んだ創形美術学校までずっとクラスメイトで、言ってみれば、苦しみもがいた試練の時も、みずみずしい青春時代も共にした親友だ。互いのひたむ…

出不精返上

とかく私は出不精である。必要に迫られないと出かけない傾向がある。出かける準備をしながら、取りやめにする理由も探している。たまに繁華街にでて浦島太郎の心境になり、自分を覆う喧噪に違和感を感じたり。だめだめ、こんなことでは早々にボケてしまうぞ……